灰汁(あく)とは何か?|灰汁(あく)の取り方【美味しい料理へ繋げる一歩】
料理をすると必ず付きまとう言葉、「灰汁(あく)」。
煮物やスープをつくるときにあく取りの作業をしたことある方は、大半だと思います。
このあくって本当に要らないのか?それとも実は要るのか?料理においてのあくのお話しをします。
若豆
調理学校卒⇒某ミシュラン和食店⇒海外で寿司経験後、家業を継いだ若大将。現在はライターと寿司屋の4代目若として活動中。
ここでは、初心者から料理上達を目指す方まで、料理の楽しさから便利になる豆知識・基礎やプロの技まで、料理に関する有益な情報を投稿中。
灰汁(あく)とは??
あくは、「灰汁」と書きます。
灰汁は、大きく分けて野菜から出る「植物性灰汁」とお肉などからでる「動物性灰汁」の2つがあります。
この灰汁には、苦味・雑味・えぐ味といった料理の味の邪魔になってしまう成分又は不純物が含まれています。
「植物性灰汁」野菜から出る灰汁の成分には、アルカロイドやシュウ酸・ポリフェノール類といった成分が含まれていて、「動物性灰汁」にはアミノ酸やタンパク質から成る灰汁です。上記の写真(豚肉)のように加熱することで浮かび上がる泡状のものです。
なんで灰汁があるのか??
動物性灰汁は、たんぱく質やアミノ酸の塊で肉表面に付着している菌や不純物ですが、なんで野菜にも灰汁が存在するのか?
それは、外敵から身を守るためです。身動きの取れない野菜・植物は、動物に食べられないようにするためにあえて苦味や辛味・えぐ味といった灰汁を持っているのです。
あく抜きの基本
お肉や野菜には、洗っても少なからず菌や農薬・不純物も付着しています。灰汁を取ることで料理に雑味や不純物を残さないで美味しさが増します。
基本では、ボイルすることで灰汁は浮かび上がってくることが多いですが、野菜の中でも大根やごぼう・タケノコといった根菜には強い灰汁があります。このような強い灰汁を持っている野菜や臭みの強いお肉には、ひと手間を加えたあく抜きが必要になります。
重曹を使うあく抜き
わらび・ゼンマイなどの山菜類は、かなり強い灰汁を持っています。そこでアルカリ性の重曹を使用してボイルすることで強い灰汁を抜き食材を柔らかく仕上げることができます。
冬瓜といった瓜類の煮物でも重曹を使うことできれいな翡翠色を保つこともできます。
米糠を使う
タケノコは、米糠を使います。
タケノコは、収穫してからできるだけ早く下処理をしないとどんどん灰汁が強くなっていく食材です。
お酢を使う(水に浸す)あく抜き
ごぼうやウドのあく抜きには酢水が適していると言われています。
水に溶けだしやすい灰汁を持っているので水に晒すだけでも十分に灰汁は取れますが、酢水にすることで食材の変色を防ぐこともできます。
ジャガイモも水に浸すことであく抜き又、でんぷん質が水に溶けるので揚げたときにカリッサクッに仕上げることができます。
お肉・魚のあく抜き
お肉・魚のあく抜きには、酒・昆布を使います。
ボイルだけでしっかり灰汁は出るのですが、
お酒は臭み消しと保湿効果があるのでお肉のパサパサ感を避けることができます。 昆布を湯した時の粘り成分は、あく抜き中のお湯の中になかれ出た灰汁・不純物をまとめてくれる効果があります。灰汁が出やすくなるのと同時に臭み消し・固まった灰汁がすくいやすくなります。
例)お酒を入れてお肉をボイル
1、沸騰したなかにお肉を落とします。
2、ここまで一気に沸かして、素早くあく(写真真ん中の茶色の泡)を取り除きます。
3、澄んだスープになります。
ここから弱火で味を出すと肉汁ができます。お肉だけ使う場合は、油や旨味が流れ出ないようにすぐに冷水に落としましょう。
タコ・イカなどの軟体類のあく抜き
タコ・イカには、吸盤にゴミやゲソに臭み灰汁が強いです。
このあくは、塩揉みして灰汁又は汚れを抜きます。
タコ又はイカのゲソを大きめのボールにいれて多め塩を振りもみ洗いします。 最初の揉み洗いが長いとしょっぱくなってしまうのでなじませる程度で水洗いで捨てて再度そのまま揉み洗いします。これの繰り返しで灰色の泡が出てくるのでそれを捨てます。ぬめりがなくなってくるのが目安です。
あく抜き表
水につける | ジャガイモ・サツマイモ・茄子 など |
酢水につける | ごぼう・蓮根・ウド など |
重曹ボイル | わらび・ゼンマイ など |
米糠ボイル | たけのこ・大根 など |
ボイル | ほうれん草(葉物野菜)・ブロッコリー など |
塩揉み | タコ・イカ など |
あく抜きはしっかりやるべきなの??
あく抜きは確かに臭みやえぐ味を取ることができます。しかし、長時間のボイルやあく抜きは食材の栄養価を下げる可能性もあります。
野菜ならポリフェノール類やタンニンなどが含まれている場合ボイルするほど損なわれますし、ビタミンCなどの水溶性成分は水に晒すだけで溶けだします。
お肉のあく抜きボイルのし過ぎは、お肉の旨味もお湯に逃げ出すだけでなく、お肉の油もなくなり繊維の間に空洞が生まれます。つまり、パサパサなお肉にもなりやすいのです。
食材と料理に応じたあく抜きをすることで美味しい料理に繋げましょう。
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