プロが語る「煮物の基本知識」|家庭での魚・根菜の煮方とは?

煮物は、和食料理人のなかでも「八寸⇒向板⇒焼方⇒煮方」と最終段階の立ち位置でもあります。

それだけ煮物は、和食の中でも深い分野であることを物語っていますね。

今回は、そんな深い分野である「煮物」についてお話します。

若豆

調理学校卒⇒某ミシュラン和食店⇒海外で寿司経験後、家業を継いだ若大将。現在はライターと寿司屋の4代目若として活動中。

ここでは、初心者から料理上達を目指す方まで、料理の楽しさから便利になる豆知識・基礎やプロの技まで、料理に関する有益な情報を投稿中。


具材の量と鍋の大きさ【煮物】

煮物を作る際の基本知識です。

基本、煮物は鍋に対して6割から7割が最大の量です。それ以上入れると火の入り方が均一にならなくなったり、ムラができたり、吹きこぼれの原因になります。

食材の量によって鍋の大きさを変えましょう。

煮物には沢山の種類があり、それぞれ水分量が違ったり料理工程が違ったりします。 しかし、どの煮物も食材が多すぎたり、少なすぎると煮崩れの原因になります。
例えば、食材が多すぎるとなべ底の食材により重さがかかるので煮崩れの原因になります。

分量は基本です。

煮物は、水から?お湯から?

野菜を煮る場合は、「葉物野菜か根菜類か」で変わる事を覚えておきましょう。

地上にあるものか、地面よりしたの食材かで変わります。

*地上にある食材
地上にある葉物野菜は、柔らかいものが多いので水からゆっくり加熱していくと溶けてしまったり柔らかくなりすぎたりします。沸騰したお湯からさっと茹でることで程よい柔らかさに仕上げることができます。
*地面より下にある食材
地面より下の食材は、沸騰したお湯から茹でると芯に火が入る前に周りが柔らかくなりすぎたり、煮崩れの原因になります。水からじっくり火を入れることで芯まで火が入り、表面をきれいに仕上げることができます。

野菜の下茹でをする場合も同じです。

大根を下茹でする場合には、水から沸騰させ中火でコトコト串がすっと通るくらいまで下茹でします。

大根の下茹でポイントはコチラ。

水分量

煮物を作る際に知っておきたいのが煮物の水分量です。

いくつかあるので覚えておきましょう。

言い方
ひたひた食材の頭が少し出る程度
かぶるくらい食材の頭の上に水面が来るくらい
たっぷり食材の頭より3cm程度上

一般的に「ひたひた」と言わる水分量を勘違いしている人がいます。

ひたひたは、水面が食材の頭よりしたにあるので注意しましょう。

「ひたひた」は、煮付けなどで使われる水分量です。水分が多いと食材の旨味が煮汁に逃げやすくなるのでできるだけ最小限で煮たい煮物料理に活用されます。

筑前煮や、ひじき煮も少ない水分量で煮ていきますね。

「かぶるくらい」・「たっぷり」の煮汁は、煮込み料理や含め煮で使われます。煮汁に浸した状態で冷ます鍋止めをする煮物の場合に適しています。

煮込み料理は、たっぷりの煮汁を弱火で長時間煮込むので食材に応じて「かぶるくらい」又は「たっぷり」の水分量が適しています。

代表的な煮物の種類

簡単な基本知識をお話しましたので、ここからは実践的に煮物の種類をお話します。

実際の煮物料理から学んでみましょう。

煮付け

煮付け料理で一般的なものが金目の煮付けや姿煮です。

旨味のある食材(魚)を「ひたひた」の煮汁で短時間で強火で煮ていきます。
長時間じっくり似ていくと旨味が煮汁に逃げ出してしまうので、煮る時間も大きなポイントになります。

肉とは違い魚の場合は、煮崩れがしやすい食材です。かといって弱火でじっくり…という訳にはいきません。

ポイントは、下処理です。

  • さばいた魚に薄塩をして余分な水分と臭みを抜いておく。
  • 霜降りする。
  • 初心者は、煮汁は最初に作っておくことをおススメする。

余計な水分が魚に残っていると煮崩れしやすくなります。塩で軽く〆てあげましょう。新鮮な魚は水っぽさもあるので煮る前に霜降りもおススメします。表面の汚れや臭みを落としてくれるだけでなく、煮崩れを防ぎます。

そして、プロは、水と酒で魚を煮ながら味付けをしていきます。しかし、家庭で煮付けを作る場合は予め煮汁を作っておくことをおススメします。味付け時間に気を取られることはないので、煮崩れを防いだり、煮すぎて味が落ちる可能性も防ぐことも出来ます。

含め煮

芋類や根菜・麩類・高野豆腐など味の染み込みにくい食材で使うことが多い煮物料理です。

「たっぷり」の煮汁で弱火でじっくり煮ていきます。火が入れば火から外して、冷ましながら煮汁に溶けだした味を再び食材に戻す料理法です。

煮汁の色を付けたくない場合は、一度食材を取り出して、煮汁と別に冷まして再び煮汁に戻すと食材に色が着きにくくなります。
色を大事にするために2通りの含め煮の方法があります。

煮浸し

煮浸しは、あっさりの薄味で食材に軽く火を通してから冷ましながら味を含ませる料理方法です。

含め煮似ていると思いますが、含め煮やお浸しの一種とされています。

火入れの時間が短時間なのとあまり沸騰させないので、「出汁」の香りや食材の香りを残して楽しむことができます。

したがって、大根や芋類といった味が染みにくい固い食材はあまり用いないで、小松菜や水菜・チンゲン菜などの葉物野菜を主に使用します。

香りの強い香草系(クレソンなど)は、出汁の香りが負けてしまうので煮浸しとしては向きません。

煮込み

本来は、固くて食べれない食材を長時間弱火でコトコト煮ることで食べれない固い食材を柔らかくする特徴があります。

洋食分野では、シチュー(Stew)とひとくくりにされていることが多いが、

日本料理では、牛筋煮込みや豚の角煮・もつ煮が思い浮かぶでしょう。

煮物の保存の知識

別ページで煮物の保存についてのお話もあります。

まとめ

煮物の基本を抑えることで家庭での料理の幅も大きく増えます。

煮物が上手な人は、料理を制するといってもいいでしょう!

是非参考にしてみて下さい。

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